あと23年。そう思うと、長い道がまだまだ続くように思える。
でも、あと23回。そう言われると指を一つずつ折って数えてしまう寂しささえある。
しかもゴールじゃない。カウントダウンの方。
「基本的に北海道って一年に一回しか作物が作れないんですよ。
僕、今42歳で、65歳まで農家やるとなると、あと23回ぐらいしか種まけないんですよ。
なので思ったことはすぐやろうと思っています。トライするのみです。」
そう語るのは希来里(きらり)ファームの中山さん。
中山さんの住む津別町は、オホーツクの中でも特に森や山に近い町のように感じた。
実際に、木の町として木材関係の仕事も多いのも特徴だ。
「オホーツクといえばカニホタテ?なんてオメージですよね。
畑のイメージってあんまりないんじゃないかな。
北海道のイメージって見渡す限り畑って感じだけどオホーツクには山が必ずあるんです。
ちなみに津別町は、冬はオホーツクの中で一番寒いです。」
そう語る中山さんがもち麦と出会ったのは2017年8月。
そこから9月に植え、今年7月に収穫を迎えた。わずか一年の出来事である。
でも、彼ともち麦をつなぐ貴重な1年でもあった。
まさに思ったことはすぐにやろう、だ。
始めてもち麦を食べた時の感想を伺うと、
「前からコンビニのお弁当にもち麦が入っているのは知っていて、
特にそれだけを味わうということはなかったですが、他に食べる機会があってその時、
もち麦だけでも美味しく食べれるんだと思ったのが率直な感想ですね。」
7月に収穫されたもち麦は、ただ今精麦という加工中だ。
中山さんが最初に食べたいもち麦料理は、もち麦ご飯。
もち麦が収穫できる前から、奥様はもち麦を買ってご飯に入れて炊いていたそうだ。
「(精麦から戻ってきたら)従業員みんなで分けて、家帰ってみんなで食べようって思っています。」
去年からスタートしたもち麦栽培だが、今後のもち麦の可能性について伺ってみた。
「体に良いものって世の中に溢れていますが、おいしくないと続かないと思うんです。
そして、誰でも続けられる価格や身近さでないと。
そういった意味でもち麦は、穀物で体に良くて無理なく食べ続けられる食材のひとつになるのではないかと思います。
やっぱり食べて美味しくないと続かないですよね。」
お子さん(3人の息子さん)にも食べていただきたいですね。
「若い人からお年寄りまでみんなに食べていただきたいです。
穀物なのでそれが可能な量を作れるのでは、と思っています。」
最後に、普段気をつけていることを聞いてみた
「よく農家の仕事ってきついとかって言われますが、
とにかく周りから見て羨ましがられるようにしたいと思っているんです。
あと、子どもたちには「自分で考えて自分で決めろ」と言っています。」
自分で考え自分で決めて、思ったことはすぐやろうと行動してきた中山さん。
きっとあの笑顔につられ笑った人も多いだろう。
今頃、精麦したもち麦ごはんを食べてみんなで笑っていますように。
来年、再来年とその輪がもっと広がることを願っている。
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Farmer (津別町)
中山和彦さん
株式会社 希来里ファーム facebookページ
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WRITING:能圓坊祐子/PHOTO:林恵子
※この記事は個人の感想であり、効果効能を示すものではありません